稽留流産した場合つわりはなくなる?続くことはあるの?
ドクター2021.12.27
稽留流産は、妊娠初期に起こる流産のなかでも、自覚症状がないことが多い流産です。知らず知らずのうちに赤ちゃんの心拍が止まっていて、妊婦健診で発覚することも少なくありません。妊娠初期には、つわりの症状に悩まされる方が多く、つわりが続いていることで赤ちゃんが元気に育っていると感じる方がいるかもしれません。この記事では、稽留流産とつわりの関係と、残念ながら稽留流産を経験した方たちの体験談をご紹介します。(2019年06月18日時点の情報です)
監修:ポートサイド女性総合クリニック〜ビバリータ〜 院長 清水なほみ 先生
稽留流産とは
稽留流産とは、胎児が死んでしまっているのに子宮の中にとどまっている状態のことを言います。稽留流産は、何も症状がないことが多いですが、なかには少量の出血がある方もいます。
自覚症状がない場合が多いことから、定期健診の超音波エコーをして「胎児の心拍が見えません」と言われてはじめて発覚するケースも珍しくありません。一度心拍が見えなかったとしても、排卵日の遅れなどの可能性を考慮して、再度診察をしてからの診断となります。
稽留流産を含む妊娠初期に起こる流産の原因は、偶発的におきる胎児の染色体異常がほとんどのため、予防することはできません。
稽留流産と診断された際の治療法は、自然に排出されることを待つ場合と、入院して子宮内容除去術を行う場合があります。
稽留流産と診断されてもつわりは続く?
つわりは、妊娠に伴う体の変化によって起こる、胃のむかつきなど消化器系の症状を中心とした諸症状を指します。つわりは妊婦の約50~80%が経験すると言われていますが、症状の重さは個人差が大きく、なかには妊娠悪阻と診断され治療が必要になる場合もあります。
半数以上の妊婦が経験するつわりですが、それまであった症状が突然消えてしまったら、赤ちゃんに何かあったのではないか、と心配してしまう方がいるかもしれません。反対に、つわりがあれば赤ちゃんは元気に成長している、と思う方もいるかもしれませんね。
妊娠初期に起こる流産のなかでも、特に自覚症状がない稽留流産を心配する方は少なくないでしょう。稽留流産と診断されたとしても、つわりがなくなることもあれば、つわりが続くこともあります。
つわりが続くと、「本当は流産ではないのでは…」と期待をしてしまうかもしれませんが、人によっては手術をするまで症状が続く場合もあるのです。
稽留流産をした時つわりはあった?体験談
では、残念ながら稽留流産を経験した方たちの体験談をみてみましょう。
つわりが無くなった
私は検診から3、4日しか経ってなかったけど、ひどかったつわりが急になくなったので検診ではなかったけど病院に行ったら流産していました。
つわりが無くなった
前回9wで繋留流産しました。
私の場合はおそらく成長が止まったあたりからつわりがなくなり、体調も食欲も回復しました。
こちらは、それまであったつわりが突然なくなってしまったというケースです。つわりが急になくなると、不安になる気持ちはとてもよくわかります。
つわりは、突然なくなるだけでなく、徐々になくなっていくパターンもあるようです。
つわりが続いた
私は稽留流産二回しましたが二回ともつわりがひどく手術する日までつわりがありましたよ。
私は今月の17日に手術しましたが
未だに悪阻が治らず、基礎体温も高温期のままです。
こちらの方たちは、稽留流産の診断後、手術を受けるまでつわりがあったとのこと。手術後、約10日たってもつわりが続く方もいるようです。
通常は妊娠の組織が体からなくなることで、妊娠によって多量に出ていたホルモンが急激になくなり、つわりの症状も消えていきます。
術後も高温期が続く場合は、妊娠の組織がまだ残っている可能性が考えられますので、手術した病院へ受診する必要があります。
つわりの有無は稽留流産とは関係ない
つわりは、妊娠しているという実感を得られる貴重なサインです。しかし、赤ちゃんの成長が止まってしまう稽留流産をしていてもつわりが続くことがあるのです。
妊娠初期の流産は、ほとんどが偶発的な染色体異常が原因で起こるため、予防法はありません。自覚症状がないことが多い稽留流産は、医師から突然告げられることもあるため、精神的に大きなダメージを受けるかもしれません。
稽留流産だけでなく、流産はとてもつらい経験です。しかし、自分を責めたりせずにまずは体と心を休めましょう。どうしても気持ちの整理がつかない場合は、カウンセリングを受けることをおすすめします。
著者:ママリ編集部
※この記事は、ママリから許可を得て転載しています。
・井上裕美(監)他「病気がみえる vol.10産科」86(メディックメディア,2015)
・岡井崇(編)他「標準産科婦人科学」326(医学書院,2014)
・日本医科大学 多摩永山病院「周産期看護マニュアル よくわかるリスクサインと病態生理」(http://www2.nms.ac.jp/hahanet/sign1_1_2.html,2017年8月29日最終閲覧)
・浅田レディース名古屋駅前クリニック「流産 Q&A」(2017年9月11日最終閲覧)
・的野ウィメンズクリニック白楽「流産と切迫流産について」(https://www.matono-womens.com/treatment/ninp/ryuzan,2017年9月11日最終閲覧)
・松崎産婦人科クリニック「妊娠中の異常について」(https://www.matsuzaki-clinic.com/obstetrics,2017年8月31日最終閲覧)
・みずうち産科婦人科「流産」(https://www.mizuuchi.or.jp/gynecology.html#cat20,2017年8月31日最終閲覧)