世界で愛される名作ハイチェア「トリップ トラップ」のルーツ。 始まりは、3 歳の我が子を想う「お父さんの優しさ」でした

暮らし2026.7.15

世界で愛される名作ハイチェア「トリップ トラップ」のルーツ。 始まりは、3 歳の我が子を想う「お父さんの優しさ」でした

今回ノルウェー・オーレスンの本社に加え、これ以上ない特別な場所を訪れる事ができました。

なんと、『トリップ トラップ』を生み出した伝説のデザイナー、ピーター・オプスヴィック氏のプライベートアトリエです!出迎えてくれたのは、ピーターのご子息であり、自身もデザイナーとして活躍するトール・オプスヴィック氏。

アトリエのあちこちに並ぶ名作椅子の数々に囲まれながら、トールさんが語ってくれたのは、トリップ トラップ誕生に隠された「親子の絆のストーリー」と、日本の育児の常識を覆すような目からウロコの「正しい姿勢のひみつ」でした。

 名作誕生の裏にあった親子の愛と、日本の「良い姿勢」の誤解

アトリエのドアを開けると、優しい笑顔で私たちを迎え入れてくれたトールさん。なんと、前日の夜に古い資料の箱を探して、父ピーター氏が1980年代初頭に日本を訪れた際、お土産としてノルウェーに持ち帰ったという日本の貴重なおもちゃを見せてくれました。

「父が日本からこれを持って帰ってきた当時、ノルウェーにはまだない珍しいおもちゃだったので、近所の友だちがみんな我が家に集まってきたんですよ(笑)」(トールさん)

実は、今回の取材団が訪問したトールさんこそが、世界中で愛される『トリップ トラップ』が誕生するきっかけとなった、あの「3歳の息子さん」その人なのです!

3歳の僕が、大人用の椅子で困っていたから

今から50年以上前、世の中のベビーチェアは「2歳くらいまでの赤ちゃん用」しかありませんでした。3歳を過ぎた子どもは、大人用の椅子に座るしかなかったのです。

「当時の僕は、大人のダイニングチェアにぽつんと座らされていました。テーブルが高すぎるから顎をのせるようにして、足は床に届かずぶらぶら……。 その不自由そうな僕の姿をじっと観察していた父が、『子どもが心地よく座り、大人と対等に食事を楽しむには、成長に合わせてお尻と足の位置を細かく調節できる、頑丈な土台が必要だ!』と気づいたんです。それがトリップ トラップの始まりでした」(トールさん)

お父さまであるピーター氏の、「我が子をみんなが集まるテーブルに仲間入りさせてあげたい」という温かい親心が、あの美しい椅子のルーツだったのですね。

さらに、当時のベビーチェアは子どもが離れて1人で食べるための「専用トレイ(テーブル)」がついているのが当たり前でした。しかし、ピーター氏はあえてトレイをつけませんでした。子どもを孤立させるのではなく、家族の輪のまんなかに、ぴったりくっつけて座らせるためです。

目からウロコ!「良い姿勢」とはじっと静止することじゃない

座談会の中で、日本の取材班からトールさんへ、ある素朴な疑問が投げかけられました。 「日本では、テーブルに向かって前のめりになると『猫背になるからダメ!』と言われがちですが、本当に前傾姿勢は身体に悪いのでしょうか?」

これに対し、トールさんから人間工学(エルゴノミクス)に基づいた驚きの答えが返ってきました。

「素晴らしい質問です! でも、実は『絶対的なひとつの正しい姿勢』なんて、人間の身体には存在しないんですよ。 私たちが考える一番良い姿勢、それは『次の姿勢(次に移り変わるポジション)』です。一日中同じ姿勢のままじっと静止していることこそが、身体にとって一番ストレスになります。前のめりになってお絵描きをしたかと思えば、背もたれに寄りかかってリラックスする。そうやって常に動き続けていることこそが、もっとも健康的で優れた座り方なんです」(トールさん)  

  前のめり(前傾)が、ちっとも悪くない理由

日本には昔から着物を着る文化があったため、「背筋をピシッと真っ直ぐ伸ばしてじっと静止する」ことが美しい作法とされてきました。そのため、多くの人がトリップ トラップを「子どもをじっと直角に座らせるための椅子」だと思い込んでいます。

でも、トールさんいわく、子どもは本来「跳ねるボール」のように常に動く生き物。 トリップ トラップについている大きな「足のせ板」は、子どもが前のめりになって遠くのものに手を伸ばしたり、身体をストレッチしたりするときに、足の裏でグッと踏ん張って、次の自由な動きに移るための「モーター(原動力)」として作られているのです。

子どもは椅子そのものが動かなくても、足の裏がしっかりついていれば、自分で勝手に身体を動かして理想のポスチャー(姿勢)を作ることができます。トリップ トラップは、子どもの「動く自由」をどこまでも応援してくれる椅子だったのです。

子育てと椅子デザインの共通点:それは「サポートと自由」のバランス

最後に、トールさんが父ピーター氏のデザイン哲学を通じて、これからママになる私たちへ素敵なアドバイスをくれました。

「『子育て』と『椅子のデザイン』には、とても深い共通点があります。それは、適切な『サポート(支え)』と『自由』の正しいバランスを見つけることです。 生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ自分でバランスが取れないので、たくさんの支え(ベビーセットなどでのホールド)が必要です。でも、子どもが大きくなってからも支えすぎ(縛り付けすぎ)てしまうと、今度は自分で動く自由や自立心を奪ってしまいます。 いつ支えを外して、いつ自由にステップアップさせてあげるか。我が子を信じてそのバランスを見極めていくプロセスは、子育ても椅子の調節も、まったく同じなんですよ」(トールさん)

大人に抱っこされてのせてもらうのではなく、子どもが自分の足で『トリップ トラップ』の階段を上り、大人のテーブルに自ら着いた瞬間。それは、赤ちゃんの成長において、自分で初めて歩いたときと同じくらい感動的なマイルストーンになる、とトールさんは教えてくれました。

サプライズ!オプスヴィック・バンドによるおもてなし

インタビューの最後には、なんとトールさんとアトリエのスタッフの皆さんが、歓迎の生演奏をプレゼントしてくれました! アコースティックギターとベースの優しい音色に包まれ、北欧の伝統的なあたたかい歌を聴きながら、アトリエでの夢のような時間は幕を閉じました。

 

おまけのマル秘ストーリー

ピーター氏は日本を訪れた際、床の上に直接座って目線を低くして暮らす日本の「床座(とこざ)カルチャー」にとても感銘を受け、なんと日本へのリスペクトを込めた特別な座椅子のようなミニチェアもデザインしたことがあるのだそう!ストッケと日本の深い絆を感じる、素敵な裏話でした。

 

プレママの皆さんへ

『トリップ トラップ』の形。それは、お父さんが我が子のために「窮屈な思いをさせず、家族みんなの輪に入れてあげたい」と願った、あたたかい愛情そのものの形でした。

育児に正解がないように、椅子の座り方にもひとつの正解はありません。 これから生まれてくる赤ちゃんに、「がんばってじっと座りなさい」と言う代わりに、自由に動ける安心の土台をプレゼントしてあげる――そんな北欧流の伸びやかな子育てを、トリップ トラップと一緒に赤ちゃんと一緒の生活をスタートしてみませんか?

 

【ストッケについて】

株式会社ストッケ(Stokke)は、1932年にノルウェーで設立された高級ベビー用品ブランドです。子どもと共に成長するハイチェア「トリップ トラップ」が世界的に有名で、北欧らしい優れたデザイン性と人間工学に基づいた高い機能性、安全性、そして親子の距離を近づけ愛着を育む製品づくりで高い支持を得ています。

 

ストッケ(ブランド)公式ホームページ https://stokke.com

※オンラインストアも掲載する?

公式ストッケオンラインショップ | ストッケ | Stokke® オンラインショップ