妊娠中期のおなかの張り。張ったときの対処法と病院の受診目安

ドクター2021.3.13

妊娠中期のおなかの張り。張ったときの対処法と病院の受診目安

妊娠中期になるとつわりも落ち着き、安定期と呼ばれる時期に入るため、経過が順調であれば妊婦生活を楽しむことができるでしょう。このころにはおなかが張ることが出てきますが、少し休んで落ち着くようであれば心配いりません。張りの感じ方には個人差があり、心配ない張りとそうでない張りの判断をするのは難しいでしょう。おなかが張ったときには、まず安静にすることが大切です。安静にしても張りがおさまらないなど、病院を受診する目安をご紹介します。 (2019年06月18日時点の情報です)

監修:ポートサイド女性総合クリニック〜ビバリータ〜 院長 清水なほみ 先生

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妊娠中期のおなかの張り

妊娠中期とは妊娠16~27週のことをいい、ママと赤ちゃんをつなぐ胎盤が完成するため安定期と呼ばれます。この時期にはつわりなどの体調不良が落ち着き、妊娠前のように活発に動くようになる方もいるでしょう。

この時期のおなかの張りは、基本的には起きないのが正常です。ただし、張りの程度や頻度によって、様子を見てもよい生理的な張りとそうでない張りがあります。おなかが張ったときに、しばらく安静にして落ち着くようであれば過度に心配しなくても大丈夫なことがほとんどです。

しかし、張りの感じ方は人によって異なるため、経過観察が可能な範囲のおなかの張りか、危険なおなかの張りかは診察をしないとわからないことがあります。張りを自覚した時は早めに医師に相談し、気をつけるべき張りについて確認するようにしましょう。

おなかの張りの感じ方

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子宮がキューっとなる感じです…違和感?と言うか(>_<)


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痛みがあり、子宮がカチカチになる感じと仰っててまったく、その通りでした!
バスケットボールが入ってるのかってくらい、下腹がカチカチになります😳


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お腹の中で風船膨らませられてる感じでした



おなかの張りは、子宮収縮がおこっている状態で、おなかがキュッとかたくなります。これらを見ると、人によって感じ方が異なることがわかります。

もしも、健診のタイミングで張りのようなものを感じた場合は、その場で張っているかどうか確認してみるとよいでしょう。一度張りの感覚を理解すれば、その後の生活で気に掛けることができるようになります。

おなかの張りの原因

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子宮は筋肉でできているため、伸びたり縮んだりします。ママが疲れを感じるほど動いたり、働きすぎたりすることで筋肉が収縮することがあります。体調がよかったとしても、無理しすぎないようにしましょう。

また、子宮が妊娠によって大きくなることが張りの原因となることがあります。非妊娠時であれば10mlほどの容量ですが、妊娠後期にはその大きさは5Lほどになります。

妊娠中期はおなかがどんどん大きくなっていく時期ですので、子宮自体の成長と子宮を包んでいる膜が大きく膨らんでいく際の突っ張った感じが張りとなって感じられるという事があります。

張りがあるときの対処法

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張りを感じたときは、まず安静にしましょう。横になることができればよいですが、外出先や職場でそういったスペースがない場合、ゆったりと座って安静にするだけでも構いません。

妊娠中期も後半になると、子宮収縮が不規則に起こるようになってくる時期のため、しばらく休むことでおさまってくれば特に心配いりません。

張りがあるときの受診目安

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しばらく横になっても治らない場合や、30分以上おなかの張りが続く場合は受診することをおすすめします。 受診目安は以下の通りです。

1.1日に10回以上の張りがある
2.張りの間隔が短くなる
3.出血(茶色や黒色を含む)がある
4.冷や汗が出るほどの強い痛みがある
5.安静にしていても張る

1日に繰り返し何度も張りがあったり、張りの間隔が短くなったりする場合は切迫流産・早産の可能性があるため、なるべく早く受診する必要があります。

また、量にかかわらず、出血は切迫流産・早産の兆候である可能性があります。「茶おり」と表現する方がいますが、茶色や黒っぽく見えるおりものは、少量の出血と考えましょう。

おなかの張りが心配な場合は、一度医師に相談を

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妊娠中期は、つわりの症状がおさまってくる方が多く、安定期と呼ばれる時期に入ることも重なって、妊娠前のように活動的になる妊婦さんがいるかもしれません。体が楽になったからといって無理をするとおなかの張りにつながることがあるため、くれぐれも動きすぎに注意しましょう。

また、妊娠後期が近づいてくるとおなかが張ることは珍しくないため、危険な張りに気付かないことがあるかもしれません。おなかが張ったときにはしばらく安静にし、落ち着くかどうか確認しましょう。

妊娠中には、体にさまざまな変化が起こります。過度に心配してストレスを感じることもよくないですが、「これくらいなら大丈夫だろう」と自己判断することも危険です。

もしも、ご紹介した受診目安に当てはまるような症状がある場合は、なるべく早く医師に連絡をとって指示を仰ぐようにしてください。

著者:ママリ編集部

※この記事は、ママリから許可を得て転載しています。

<出典元一覧>
・佐藤クリニック「おなかが張るということ」(https://www.sato-clinic.com/press_vol26.php,2017年9月26日最終閲覧)
・みちおかレディースクリニック「妊娠中の出血・おなかの張りについて」(http://www.michioka-lc.com/faq/entry-68.html,2017年9月26日最終閲覧)
・井上裕美(監)他「病気がみえる vol.10 産科」39(メディックメディア,2015)
・日本産科婦人科学会「お医者さんがつくった妊娠・出産の本」32(リクルートホールディングス,2015)
・いたはし産婦人科「Q&A」(2017年9月26日最終閲覧)
・あおぞらレディス&マタニティクリニック「妊娠 中期~後期」(http://www.aozora-lmc.jp/birth/guide02.html,2017年9月26日最終閲覧)